CMフェスinふくい感想

 先日の宣言どおり「響のホール」で行われたCMフェスティバルに行って参りました。結論から先に言うと「最高!すごく楽しかった」です。

 上映会というよりは、まさにフェスティバル。イメージとしては、フルコースのメインディッシュはCM作品。でも、その他のデザート・前菜も盛りだくさんいった感じでした。

 昨日、響のホールで行われたのは3時間のショートバージョン。でも、ショートといっても3時間(笑)もちろん、作品それぞれに楽しんでみることができました。同じCMでも、「文化やバックヤードが違うとこれだけ違う」とかというのもあり、「ああ、こりゃ万国共通で笑えるな」とかいうのもあり、合計160-180本の作品を見ることができました。もう、お腹満腹。

 でも、このイベント。フルで楽しむには、オールナイトがおすすめです。夜10時から朝6時頃までの8時間バージョンがございます。休憩などは入れつつもノンストップで500本!のCMが楽しめます。昨日のイベントに参加するまでは、「オールナイトはきつい」と思っていたのですが、今は「絶対、参加したい!」です。福井開催があるなら必ず行きます。

 実際のCMで印象に残ったやつ紹介しようと思っていたのですが、さすがに本数が多くて面白かったのに思い出せないものがたくさんありそう・・・でも、覚えているものだけでもご紹介しますね。

 一番最初に見たのは、アディダスのCM。NBA選手のケビン・ガーネットをみて人々がどんどんケビンの体の上に乗っかって行くというものでした。最初は数人なんだけど、どんどん上に人が乗っていって最後は100人位は乗っているのに、ケビンは平気な顔して歩き続けるというもの。ビルから人が飛び降りてきて、どんどん増えて行くといった感じ。
 ナイキやアディダスといったスポーツブランドは、個々の製品どうこうというのではなくてまさしくブランドイメージだけを伝えられればよいし、ブランド自体がグローバルな存在なので、同じCMをどこの国で見ても通じるものがあります。
 そして、予算も半端じゃないですね。出ているスターも、実現している表現方法も、そのCMが制作される時代の最先端の技術を惜しみなく注ぎ込んでいるのがよく分かります。

 後、海外進出している日本の企業のCMがものすごく面白かった!ほんと、こんなCMを日本で見せて欲しいというようなものばかりでした。HONDA・NINTENDO等ですね。

 HONDAのCMは、車の部品だけで、ものすごい手間のかかったからくり仕掛け(最後にはHONDAの車自体が走り出す。)を作って行くんですが、これの芸が細かいのなんのって。ホント、半端じゃないっす。2分-3分ほどのものすごい仕掛けを、カメラ1ショット(実際に1ショットかどうかは不明。モーションコントロールカメラを使っているかも。)で実現してます。ホント、こういうのみるとたまらない。

 NINTENDOはねー。これもおもしろいです(笑)いきなり人がどんどん一定の方向に向かって走り出すんですけど、車に引かれても死なないんですよ。そいでもって、マンホールの穴に落ちたりとか、地下鉄の電車の上に子供が乗って進んで行くとか、電話ボックスの上をピョンピョン飛んだりとかね。
 この後、まあちゃんとオチがあったりするんですけど、これは来年のフェスに参加して直接見てもらうことにしましょうかね(笑)

 後は、118118シリーズ(電話番号を知ってもらいたいためのCMです。)も最高でした。こういうの、たまらなく好きです。こういうのみると、日本のCMももっと肩の力抜こうよって思っちゃいます。 後は、ヒューレットパッカードのCMもクールでした。音との同期が取れているCMって小気味良くて、見ていて乗ってきちゃいます。

 後は、以前から見たことがあって好きだったリーバイスのCMも流れました。女性と男性の2人がものすごい勢いで壁を破って行って最後空に向かって飛びだすCMなんですけど、これってうちの会社にあるシステムと同じ編集システムで制作されているんですよね。で、そのシステムの操作研修を受けた際、1シーンの制作が実習の中で出てきたんでよく覚えてました。ホント、今見てもすごい違和感無く合成されている作品でした。

 後、犬が人の口の中から出てくるCMのメイキングシーンでも、うちと同社のシステムが使用されていまして、見慣れた画面で効果をつけているシーンが映ってました。俳優さんの口を伸ばすためのワーピング作業をしてました。後は、犬が出てくるのにあわせて、穴が少しずつ開くように加工したブルーバックに感心しちゃいました。

 後は、アイディア系で、タイの銀行のCMが面白かった!(詳細はちょっとややこしいので、気になる方はお会いした時にでも聞いてくださいね(笑))予算がないと実現できないCMも結構ありましたけど、アイディアでも勝負できるんだなと思い知らされるCMでした。後は、違法DVDプレーヤーのCMも最高でした。基本的に俳優の2ショットなんで、制作のお金なんてほとんどかかってないもん。ほんと、すごいよなあ。


 って、結構思い出すもんですね(笑)

 といっても、百聞は一見にしかず。イベントの楽しさだけ伝われば、後はぜひご自身の目で見に行って確かめてもらえたらと思います。本当に楽しかったです。もちろん日本のCMにもおもしろいものあるんですけど、海外の作品にはそれぞれの味があるんですよね。

 自分も、以前から海外のCMを見る機会ってそれなりにあったので感じていたことなんですけど、ブーヴィエさんもこうおっしゃってました。「海外のCMは、CMを一つの作品として捉えている。どこの会社のCMなのは最後までわからない。こういうアプローチが非常に多い。」と。
 今までは欧米中心でしか見たこと無かったんですけど、今回のフェスで、日本以外のかなりの国のCMがそういう構成なんだなと。日本だけがかなり特殊なのだなと、つくづく感じました。
 これって、CMを売る単位にかなり影響を受けているんですよね。日本はほとんど15秒。長くて30秒ですよね。まれに1分とかありますが、まあほとんどない。これに比べて海外のCMは短くても30秒。1分を越えるCMもざらにあります。このため、制作側・クリエーターが表現するさいの制約がものすごく減る。視聴者に伝えるための時間があるということは、クリエーターにとってはそれだけで大きな武器になりますしね。

 イベントとしてもおもしろいし、個々の作品から感じる部分も非常に多くて、本当に刺激的な時間をすごさせてもらいました。こんなイベントが500円って、信じられないです。

 後は、このイベントの司会というか、前説から最後まで説明しながら盛り上げてくださったブーヴィエさん。最高でした。参加者には、全員パチパチとならす道具が渡されまして、作品が面白くても面白くなくても「パチパチー」って鳴らすんですけど、こうしたノリを本当にうまく引き出すというか、盛り上げ上手な方なんですね。本当に楽しい方でした。
 その後、ブーヴィエさんも「福井の方は規模が小さいにもかかわらず、ノリが良くて楽しかったー」って言ってくださっていたそうです。あー、そう感じてくださって本当に良かったなあ。僕も楽しんで、すっかり盛り上がってました。

 ちゃんと決まっているのかどうかについては、若干心配なんですけど(少しスタッフ側の事情を知っているため・笑)、こうしたノリが開催につなげて行く力になることは間違いないですよね。ああ、本当に開催されるのであれば、ものすごく楽しみ。一杯お知り合いを誘って、パーティーのノリで参加しちゃいたいと思います。頼まれちゃいないけど、自分に10人のノルマを課します(笑)
 多分、昨日のフェスに参加された人はほとんど来るんじゃないかなあ。その方々が数人ずつお友達連れてくるだけで、軽く500-600人は集まっちゃいますしね(笑)

 今回楽しいイベントを開催してくださったブーヴィエさん、そしてこのイベントを福井に誘致し、開催にあたって精力的に活動されていたスタッフのみなさん本当におつかれさまでした。自分で開催していないイベントの中では、ダントツで今年一番楽しいイベントでした。

[世界のCMフェスティバル 公式サイト]
 http://homepage.mac.com/cmfestival/
 2003年版まで出ているもよう。最新版は販売もされているようです。